パニック発作の基本ガイド

不安障害
Young woman resting against the wall

パニック発作の基本ガイド

パニック発作の種類と症状の概要

パニック発作は、突然起きる圧倒的な不安や恐怖、強い身体症状からなります。パニック障害ではその発作が繰り返し起こり、日常生活に制限や苦痛を引き起こします。

パニック発作の症状は通常、突然発生し、数分以内にピークに達します。

動悸、呼吸困難、震え、発汗、めまい、吐き気などが強く起こり、「心臓発作ではないか」「窒息してしまうのではないか」と恐怖を感じます。多くの人が「死んでしまうのではないか」と感じます。

男性よりも女性は2倍かかりやすく、10代後半から成人期初期頃が発症のピークです。

原因がはっきりしていて(閉所や高所、乗り物など)、ある程度予測が出来るパニック発作と、

全く予期できず、どこででも起こるパニック発作があります。

原因が分かっているパニック発作は怖い思いをした場所や状況、不安に思う思考などの何らかのトリガー(引き金になるもの)により発生します。

たとえば、人前で話すのが怖い人は、聴衆の前に出るとパニック発作を起こすことがあります。

原因のはっきりしない、突然発生するタイプの予期できないパニック発作が繰り返されることが、パニック障害の特徴です。

パニック発作の危険因子

パニック発作のリスクを高める可能性のある要因には、次のものがあります。

  • パニック発作またはパニック障害を持つ家族歴
  • 愛する人の死や深刻な病気などの人生の大きなストレス
  • 性的暴行や重大な事故などの外傷性の出来事
  • 離婚や結婚、子どもの誕生など、人生の大きな変化
  • 喫煙またはカフェインの過剰摂取
  • 小児期の身体的または性的虐待の歴史

パニック発作の治療

パニック発作への治療は主に、薬物療法と心理療法がおこなわれます。

治療の方法の選択は、それまでの病歴やパニック発作の重症度にもより、また受診先にパニックを扱うカウンセラーやセラピストがいるか、そしてパニック障害に適した治療法を行っているかという事にも依存します。

パニック発作への治療で心理療法が選択肢としてあげられます。また、パニック発作のメカニズムについて学び、対処する方法を身につけると、自分自身のパニック発作の管理、対応、セルフケアに役立ちます。

心理療法では、対話を主にしたカウンセリングや認知行動療法が行われることが多くあります。認知行動療法と呼ばれる心理療法は、パニック症状が危険ではないことを知り、自分で管理できるようになることに役立ちます。

パニック発作の種類と症状の概要

パニック発作の特徴は、恐怖、不安、強い身体症状です。

パニック発作は、予期されるものと予期しないものの2種類に分類されます。以下は、それぞれについての特徴です。

症状

DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル、第5版)にリストされている診断基準によると、パニック発作は突然の恐怖の感覚として経験されます。これらの症状には、少なくとも4つの他の精神的、感情的、および身体的症状が伴います。

その他の4つ以上の症状には次のものがあります。

  • 動悸または心拍数の加速
  • 過度の発汗
  • 震え
  • 息切れ・呼吸困難
  • 窒息感
  • 胸の痛みまたは不快感
  • 吐き気または腹痛
  • めまい、ふらつき、立ちくらみ、
  • 悪寒またはほてり
  • コントロールを失ったり、気が狂ったりする恐れ
  • 死の恐怖
  • しびれ感またはチクチクする感覚(感覚異常)
  • 非現実化および/または非人格化(自分という感覚がなくなる、現実でないような感覚)

パニック発作の症状は通常、急速に発生し、数分以内にピークに達します。パニック発作がおさまると、症状は完全になくなるか、パニックが不安状態のままになり、パニック発作のサイクルを繰り返す可能性があります。

パニック発作の種類

DSM-5では、パニック発作は予期できるパニック発作と予期できないパニック発作の2つに分類されます。

予期されるパニック発作

特定のきっかけまたはトリガー(引き金となるもの)にさらされたときに起こることが予測できるタイプのパニック発作です。

たとえば、閉所(閉所恐怖症)を恐れる人は、エレベーターや狭い場所でパニック発作を起こす可能性があると予測できます。飛行機恐怖症(エアロフォビア)は、飛行機に乗るとき、離陸時、または飛行中にパニック発作を起こす可能性があります。

予期されないパニック発作

予期されないパニック発作は、明らかな原因や兆候がなく、突然発生します。予期されないパニック発作が発生すると、症状がない時にもいつ発作が起こるか分からず、完全にリラックスすることができなくなります。

このタイプのパニック発作は、恐怖にもとづいた考え、激しい恐怖や不安の感情、不快な身体的感覚など、内側の感覚や感情のきっかけや、引き金となる出来事や対象がありません。

また、特定の恐怖症や恐怖を感じる状況にいるなどの、外側の条件で発生するパニックは、予期されないパニック発作ではありません。

パニック発作と診断

パニック発作はパニック障害だけでなく、他の精神疾患でも発生します。

広場恐怖症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社交不安障害(SAD)、特定の恐怖症、強迫性障害(OCD)、全般性不安障害(GAD)、双極性障害などの気分および不安障害、うつ病でも発生することがあります。

他にもパーソナリティ障害、摂食障害、物質関連障害など、さまざまな精神疾患でパニック発作が発生することがあります。

パニックの症状がパニック障害のものなのか、または別の疾患のよるものかどうかを判断する必要があります。

早期発見、早期治療が望ましいのは身体の病気と同じで、パニック発作の症状へも治療が早ければ早いほど、回復が期待できます。

診断基準:ICD-10

この分類では、一定の恐怖症的状況で起こるパニック発作は、恐怖症の重篤さの表現とみなされ、診断的優先権は後者に与えるべきである。パニック障害それ自体は、F40.-のいかなる恐怖症も存在しない場合にのみ診断されるべきである。確定診断のためには、自律神経性不安の重篤な発作が、ほぼ1ヵ月の間に数回起きていなければならない。

  1. 客観的危険が存在しない環境において起きる。
  2. 既知の、あるいは予見できる状況に限定されない。
  3. 発作と発作の間は、不安症状は比較的欠いている(しかし、予期不安は通常認められる)。

診断基準:DSM-5

  1. 繰り返される予期しないパニック発作。パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。
    注:突然の高まりは、平穏状態、または不安状態から起こりうる。
  1. 動機、心悸亢進、または心拍数の増加
  2. 発汗
  3. 身震いまたは振え
  4. 息切れ感または息苦しさ
  5. 窒息感
  6. 胸痛または胸部の不快感
  7. 嘔気または腹部の不快感
  8. めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
  9. 寒気または熱感
  10. 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
  11. 現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
  12. 抑制力を失うまたは“どうかなってしまう”ことに対する恐怖
  13. 死ぬことに対する恐怖

注:文化特有の症状(例:耳鳴り、首の痛み、頭痛、抑制を失っての叫びまたは号泣)がみられることもある。この症状は、必要な4つ異常の1つと数えるべきではない。

  1. 発作のうちの少なくとも1つは、以下に述べる1つまたは両者が1ヵ月(またはそれ以上)続いている。
  1. さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配(例:抑制力を失う、心臓発作が起こる、“どうかなってしまう”)。
  2. 発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(例:運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を避けるような行動)。
  1. その障害は、物質の生理学的作用(例:乱用薬物、医薬品)、または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心肺疾患)によるものではない。
  2. その障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:パニック発作が生じる状況は、社交不安症の場合のように、恐怖する社交的状況に反応して生じたものではない:限局性恐怖症のように、限定された恐怖対象または状況に反応して生じたものではない:強迫症のように、強迫観念に反応して生じたものではない:心的外傷後ストレス障害のように、外傷的出来事を想起するものに反応して生じたものではない:または、分離不安症のように、愛着対象からの分離に反応して生じたものではない)。

※参考文献
『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)
『ICD-10精神および行動の障害臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

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