HSPと感覚過敏 つらい時の対処法

セルフケア
Female person in white dress walking in a rye field on sunset. Woman on summer meadow, back view

HSPと感覚過敏

敏感な人の中には、メンタルな敏感さの他に、光や音などにたいして感受性が強く、感覚の刺激そのものに苦痛を感じる人がいます。そのような状態を感覚過敏と言います。感覚過敏は、周囲で起こる音や光、匂い、味、触れる感覚など外部からの刺激が過剰に感じられることで、強い苦痛や不快な感覚を感じられる状態です。こういった感覚過敏にはメンタルの敏感さや傷つきやすさとは違う対応が必要になります。

感覚過敏とは

感覚過敏とは、「生活音がとてもうるさく聞こえてストレス」「光や、強い色を見ると苦痛を感じる」「ちょっとした音を痛いくらいに感じる」「肌ざわりに極端に敏感で、普通の洋服が着られない」など、五感(聴覚・視覚・味覚・触覚・嗅覚)で感じる感覚を強く感じすぎてしまう状態です。

敏感な人はHSP?

HSP(Highly Sensitive Person)は米国の心理学者、エレイン・アーロンが提唱した概念で、分かりやすく人気のある概念です。日本語では“敏感すぎる人”とか“ひといちばい敏感””とても敏感な人“という風に訳されています。HSP(子どもの場合HSC)は、ちょっとした音や出来事などを過剰にキャッチしたり強く反応してしまい、ストレスやしんどさ、苦痛や問題を抱えたり、自尊心が低くなり生きづらさを感じてしまうことがあります。

HSPのチェックリストはネットで検索するとたくさん出てきますが、科学的な妥当性と信頼性に欠けるところもあるようです。また、HSPは精神医学的な概念ではなく、障害や病気の名前、診断名ではありませんので、チェックが多くHSPだったからといって、治療が必要ということはありません。HSPのチェックリストは自分の敏感さを理解するための参考にできます。

 HSP/HSCのセルフチェックのリスト

1. 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ

2. 他人の気分に左右される

3. 痛みにとても敏感である

4. 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる

5. カフェインに敏感に反応する

6. 明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい

7. 豊かな想像力を持ち、空想に耽(ふけ)りやすい

8. 騒音に悩まされやすい

9. 美術や音楽に深く心動かされる

10. とても良心的である

11. すぐにびっくりする(仰天する)

12. 短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう

13. 人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく

(たとえば電灯の明るさを調節する、席を替えるなど)

14. 一度にたくさんのことを頼まれるがイヤだ

15. ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける

16. 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている

17. あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり、神経が高ぶる

18. 空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる

19. 生活に変化があると混乱する

20. デリケートな香りや味、音、音楽などを好む

21. 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している

22. 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる

23. 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」 とか 「内気だ」 と思っていた引用:

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。エレイン・N・アーロン [著]・冨田香里 [訳] 講談社 / ソフトバンク文庫より

 これらの項目のうち12個以上に「はい」と答えるとHSPである可能性が高いとアーロンは言っています。しかし、このチェックリストの作成方法や過程は厳密な心理検査の手続きにのっとっておらず、科学的な妥当性と信頼性には欠けるところもあるようです。このチェックリストの結果は絶対ではありませんし、HSPのようだから治療が必要ということでもありません。

HSPの4つの特徴的な性質

(1)処理の深さ(Depth of processing)

 HSP受けた刺激を深く受け取り、処理する傾向があります。一を知って十を知る。それよろしく、と言われただけで全部を把握する。本質を見抜く。哲学的に考える。反応するのに時間がかかる。考えすぎと言われる。

(2)過剰に刺激を受ける(Overstimulated)

 通常、脳は自分にとって無意味な刺激や関心のない情報、過剰な刺激は自然にあまり受け取らないようにしています。そして、重要な事柄や自分の関心がある情報を受け取ります。HSPの人はこうした雑音の排除の処理が弱いため、多くの刺激や情報が選別されず、過剰に入ってきてしまいます。人よりもたくさんの情報をキャッチし、処理しなければならないので、疲れやすくなります。

(3)感情的な反応と高い共感性(Emotional reactivity and high Empathy)

心が反応しやすく、また感情を強く感じます。共感性が高く過剰に同調してしまうため、人の考えや気持ちをよく察し、人に対して優しい傾向がありますが、周囲に影響されやすく、他人の問題を自分の問題のように感じてしまうことがあります。そのため、他人の問題に巻き込まれたり、人間関係でストレスを感じやすく、疲れやすくなります。高い情緒性のため音楽や芸術作品や文化に深く心を動かされたり、感動することができ内面が豊かです。

(4)繊細な刺激への感受性(Sensitivity to Subtle stimuli)

 刺激をキャッチする感度が非常に高いため、他の人は気づかないような刺激や感覚をもキャッチします。五感の感度が高く、騒々しいところや刺激が強いところでは苦痛を感じたり、疲れてしまったりします。化学物質や電磁波で具合が悪くなる人もいます。

(2)と(4)に関連して、感覚器そのものが敏感で、聴こえる音や、光、などの感覚の過剰さに苦痛や強いストレスを感じている場合は、感覚過敏といって脳のボリューム調節機能や雑音のシャットアウト機能に問題がある可能性があり、メンタルな敏感さ、動揺しやすさや傷つきやすさとは違う物理的な対処が必要になります。

感覚過敏になる働き

雑音が排除できない

通常の人の脳は、音や光などの刺激に対して、そのボリュームを適度なレベルに自動的に調整します。そしてパーティーのような騒がしい場でも周りの雑音を排除して話している相手の言葉や、重要な刺激だけを感じるように出来ています。(カクテルパーティー効果)

運動会でホームビデオを撮ると、その場ではBGMや声援しか聴こえなかったのに、ビデオ越しだと話し声やガサガサした雑音が非常にうるさく煩わしい、ということが起こります。なんらかの原因で雑音の排除が脳でできないと、このビデオ越しのように情報が全部同等に入ってきてしまい、重要な情報に集中することが困難になります。

ボリューム調整ができない

また、ボリュームを調節する機能がうまく働いていないと、音や光などの刺激が非常に強いボリュームで感知されて生活音や雑音など、さまざまな刺激が過剰に感じられます。感覚は他人と比べることが難しいので、自分の感覚が過敏であるのかわからない状態のまま我慢して、ストレスを抱えている場合もあります。日常の中で、強いストレスや苦痛、生活上の困難さを抱えている場合は、感覚過敏である可能性が高くなります。

感覚過敏への対応

感過敏であると分かったら?

物理的に刺激を減らす

自分が感覚過敏であると分かったら、どうすればいいでしょうか?一番簡単な方法は、物理的に刺激を減らすことです。ただ、感覚過敏がある人が必ず物理的な対処をしなければならないということはありません。

どう対処するかは、その過敏さの程度や苦痛のレベルによって変わります。日常で少しストレスや疲れを感じる程度だったら、自分で環境に気をつけることでストレスを減らすことが出来ます。聴覚過敏へのヘッドフォン、視覚過敏へのサングラス、嗅覚過敏へのマスクなど、刺激を減らすアイテムの利用も助けになります。無理をしないことが原則で、刺激となる原因を取り除いたり、減らしていくくことが必要です。

「生活が困難になるほどではないけれど、ある程度の感覚過敏はある気がする」、「他の人と比べるとやや過敏だと思う」、という人も多くいます。自分で調整しても感覚過敏の苦痛やストレスが消えない場合は、医療機関の受診や物理的な対処が必要になります。

イヤホンなど軽減アイテムを活用

聴覚過敏には耳栓やヘッドホンを使用することができます。最近はワイヤレスのイヤホンをして歩いている人も多いので、抵抗なく自然に耳栓代わりにイヤホンをつけている、ということもしやすくなりました。視覚過敏でノートがまぶしくて目が疲れる人は、光の反射率をおさえた目に優しいノート(LOFTのグリーンノートなど)を使用したり、サングラスをつけるなど刺激を軽減させるアイテムを活用することで、つらい刺激を軽減することができます。オーガニックコットンの服を着る、自然素材のものをつかうなど、刺激を減らして自分が楽になれるものを試してみましょう。

Headphones and coffee cup on office wooden desk table. Music concept. Top view with copy space

環境を調整する

自分にとってつらい感覚をなるべく減らせるように、環境を調整します。照明や居住空間の調整、周りの人に過敏であることを知らせておく、騒がしいところに行かないなど、出来ることから調整してみます。

体調の管理

また、体調の管理も大切です。ストレスや疲れが続くと自律神経のバランスが崩れたり、感覚過敏の症状が悪化してしまうことがあります。睡眠や休息をしっかりとり、食事や運動などのバランスをとりましょう。休む時には強い刺激を減らし、しっかりと休息できるようにすることも大切です。

他人の話し声だけが気になるのは?

話の内容が気になってしまう

生活音などはさほど気にならないけれど、人の話し声が聞こえると特に落ち着かないという場合、聴覚過敏ではなく話の内容が気になっていたり、感情的なストレスとして感じている場合もあります。その場合は、生活音やBGMなどはそれほど気にならないでしょう。そういった場合も、ワイヤレスのイヤホンをして内容が聞こえにくくする、といった対応をすると落ち着く場合があります。電車に乗る時やカフェで作業をする時など、他人の話し声に意識が向いてしまうときはイヤホンをつけているとリラックスできます。

特に言い争いや強い口調が聞こえてしまうとストレスを感じる場合は、感情的な反応と分かります。一時的にその場を離れる、そうできない場合は内容が入ってこない様にイヤホンで遮断したり、音楽を聴くなど、自分を守ってあげましょう

感覚過敏の原因は?

感覚過敏の原因で最も多いのが発達障害です。

(※感覚過敏のある人=発達障害というわけではありません)

 自閉スペクトラム症やADHD、ADDなどの発達障害がある人に、感覚過敏が起きることがあります。発達障害のある人は五感(聴覚・味覚・触覚・視覚・嗅覚)が外側の刺激に対して過敏であったり、逆に鈍かったりと、感覚処理の障害を持つことがあります。

発達障害は黒か白かではなく、ほんの少し傾向を持っている、というグレーゾーンの人も多くいます。特定の音に過剰に反応したり、多くの人にとって気にならないような音が、耐えられないほど大きく感じられたりして苦痛を感じ、疲れてしまったり具合が悪くなってしまうこともあります。

 日常生活での様々な刺激が洪水のように感じられていたり、雑音をシャットアウトできず、話している人との会話に集中できないという人もいます。

ただ、発達障害であるかどうかが重要なのではなく、自分の傾向を知って、困らない様に対応できればいいのです。

感覚過敏の症状

 感覚過敏の症状は人によって異なります。触覚が過敏な人の中には、触れられたときに激しい痛みを感じることがあったり、聴覚が過敏な人は、ちょっとした音に対しても、痛々しいほどうるさく感じることがあります。視覚が過敏だと昼間の光がまぶしすぎて外に出るのがつらい、ノートや書類の白さがまぶしくて目が疲れてしまう、聴覚が過敏だと生活音がうるさく疲れてしまう、話し相手の声が雑音で聴き取れない、時計の音やクーラーの音に苦痛を感じる、というようなものがあります。

 また、突発性難聴、メニエール病、てんかんや脳卒中、片頭痛などでも、視覚過敏や聴覚過敏が起きることがあり、不安・ストレスなどで感覚過敏がひどくなることもあります。うつ、PTSD、不安障害でも、強い警戒状態にあることで、刺激に対してとても敏感になることがあります。また、聴覚情報処理障害を持つ人は、周囲の騒音の中でカクテルパーティー効果(話し相手の言葉だけに集中する)が機能しないことがあります。

感覚過敏の受診先は?

自分で環境を調整してみてもストレスが強い場合、生活が困難なほどつらい時は、まずは感覚過敏が出ている感覚器(目・耳・鼻など)を専門とする医療機関を受診する必要があります。

視覚であれば眼科、聴覚であれば耳鼻科、という風に、目・耳・鼻などの感覚器の機能に問題があるかどうかを検査してもらいましょう。感覚過敏は病気の名前ではなく、症状の1つです。感覚過敏という診断が出るものではありませんが、学校や職場で合理的配慮を必要として、診断書などが必要な場合は医師に相談してみてください。

©2021 ADOR(心理セラピスト/公認心理師・宮沢みか)

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