不安を減らすコツ~回避をやめると楽になる

アクセプタンス
Crossroad signpost saying this way, that way, the other way concept for lost, confusion or decisions

回避行動は不安を高める

回避行動とは、自分にとって不快な感情、感覚から逃れるためにとる行動です。不安に振り回される人は「不安を感じないために」回避行動を繰り返していることがよくあります。その回避行動によって、不安は悪化してしまいます。また、回避するために生活はしづらくなり、自己肯定感が下がります。

回避行動とは?

回避はさまざまな方法で起こります。不安を感じると、衝動的にその先にある場面や状況を避ける行動をとります。また、不安という感情そのものを避けようとしたり、安心するための行動(薬を飲む、衝動買いをする、気晴らしにスマホを見る、など)をとることもあります。

不安を感じる苦手な場面に行かない、不安になったから予定をキャンセルする、といったことから、少し不安を感じるとそれを解消しようと慌ててアレコレ画策する、ということもあります。

また、どこかで一度つらい目に合うと、それがたとえ日常生活の中の安全な場(電車に乗る、スーパーで買い物するなど)であっても、「また悪いことになるかもしれない」と不安を感じ、その場所や似た状況を避けるようになります。

回避行動の例

  • 不安や緊張を感じる場面や状況をできるだけ避ける
  • 嫌な目にあった場や似た状況に「悪いことが起こるかもしれない」と不安を感じ行かなくなる
  • 挨拶や会話が気まずいので人に会わない様にする
  • 不安になり突然予定をキャンセルする
  • 少しでもストレスを感じる事は避ける
  • 知り合いがいたが気づかないふりをする
  • 不安を感じない様に気晴らしをする
  • 予測できない場面や状況を避ける
  • 新しい挑戦を避ける
  • 不安を解消するために衝動買いや電話などをする

安心するための行動

不安を感じないで済む様にあらかじめ準備する、安心するための安全行動も、回避行動の仲間です。安全行動の例は…

  • 人に会う前に薬やアルコールを摂取しておく
  • 肌身離さずお守りやパワーストーンなどを身につける
  • 不安になったらすぐ出られるように出入り口の近くに座る
  • 喉が渇いたらすぐ飲めるように常に水を持ち歩く
  • いつもと同じにやり方に強くこだわり崩さないようにする
  • 気まずい状況が生じない様にあらかじめ計画する

こうした安全行動も、不安を高めてしまい、感情に翻弄される弱い自分というイメージを強めてしまいます。

回避行動は習慣化し生活の質を落とす

不安に対して、無意識に回避するという行動は習慣化し、その人の行動パターンとなって染み付いていることが多くあります。

回避が自分の行動パターンになっていると、仕事や人間関係、生活の全般にも影響を与えます。興味がある事や、やりたい事なども、目先の不安を避けるために諦めてしまう事があり、人生の多くの側面にマイナスの影響を与える可能性があります。不安を感じないようにするために、仕事でのチャンスや挑戦、友情や恋愛なども避けているかもしれません。回避行動をすることで生活の質が落ちていき、自分への自信が失われていきます。

回避行動の罠

誰もが不安を感じないために回避行動をとるものの、結局は望んでいたことと反対の効果をもたらしてしまうのが回避行動の罠です。回避行動をした直後は「これで不安を感じないで済む」と、一時の安堵感を感じるかもしれませんが、長期的には不安の増大と自信の喪失につながってしまい、どんどんつらくなっていきます。

逃れようとするほど恐怖は増す

不安を引き起こす対象や、感情そのものから逃れるたびに、実際には不安を強化してしまいます。これは恐怖でも同じです。

回避することで、’その対象は危険である’ ’それは恐ろしいものである’ ‵自分は対応できないだろう’ というメッセージを自分に送っているのです

回避行動はエスカレートして拡がる

回避行動はエスカレートしていくことが多くあります。人間は本能的に「危険を避けよう」「ネガティブなものを探し出して身を守ろう」とするので、対象がどんどん拡がっていく傾向を持っています。例えば、飛行機に乗った時にパニック発作を起こした人が、飛行機に乗るのをやめるという回避行動を取るようになりました。しばらくして、似たような状況であるタクシーや電車など、他の公共の乗り物に乗ることにも不安を感じるようになり、乗り物全般に乗らなくなりました。そして次には、美容院や歯医者など、座っていなければならない状況に不安を感じ、行くことが出来なくなる、という風に回避の対象がどんどん増えてしまうことがあります。回避行動が拡がるほど、生活で多くの制限が生まれます。生活の質はどんどん下がり、自己否定感がつよくなります。

悪化すると広場恐怖症(人多い場所や公共の場への恐怖症)や不安障害を発症する事もあります。

回避行動がさらにストレスを生み出す

回避行動が繰り返されていると、人生での様々な領域で、多くの経験やチャンスを失ってしまいます。自分のしたい事に挑戦したり、人生を豊かに生きることが、回避のために妨げられている場合も多くあります。行動範囲がどんどん狭くなり、自分が対応できる場や安心できる場は減っていきます。「うまく適応できない」「自分は弱い」「自分の心が扱いきれない」と自信を失い、自己否定感が強くなっていき、苦しさや生きづらさを感じるようになります。

最終的には「どこに行っても、誰といても安心できない」「行ける場所がない。居場所が全くない」と行き詰ってしまいます。

回避をやめると楽になる

回避行動をやめることで、不安を高めたりストレスを増やす悪影響をストップすることができます。また、回避のために使われていたエネルギーの消耗がなくなると、体感として楽に感じられてきます。

まず回避が起きていると気づく

習慣となっている行動を修正するには、まずそれがいつ起きているのかを認識する必要があります。

不安を感じた時、‵いつもどのように行動しているか’、自分を観察します

回避行動があったら、それを記録して自分のパターンを見つけます

繰り返されている目立つパターンがあるでしょうか?今まで無意識にとっていた回避行動に光を当てて、明るみに出して観察してみる事が初めの一歩です。

回避行動は日常の小さな、些細なことにも多く現れます。

回避行動は「電車でパニックを起こしたから電車に乗るのが不安で乗らなくなった」という様な分かりやすいものから、「誰か乗って来ないようにエレベーターの閉まるボタンをすぐに押した」という様な日常的な小さなことまであります。気づくことができたら書き出してみましょう。

もし、自分がかなり多くの回避行動をしていることに気づいたとしても、落ち込んだり自分を責める必要はありません。

まずはこれらの無意識なアクションに気づくことが一番大事です。また、気づていることによって、修正する可能性も出てきます。

受け容れる

回避行動を克服するための鍵は、回避している不安にゆっくりと直面し、それを受け容れる、ということを繰り返し続けることです。スピーディーに解決はしませんし、簡単でないこともありますが、習慣は繰り返すことで変わっていきます。回避行動は習慣レベルの行動なので、習慣を変えていくことで変化を起こすことが出来ます。

不安はあっていいもの、としてまず観察します。不安が起こったら、衝動的に行動したり、不安をどうにか紛らわそう、慌てて解消しようとせずに、ただ起こっているものとして「不安が起きているな」と受け容れていきます。

不安は悪でも問題でもありません。ただ、身を守ろうとして起こっている感情で、本能的なものです。

抱えていられるようになる

不安はあってもいい、起こってもいいものとして、受け容れられるようになると、感情を抱えていられるようになってきます。不安を解消しようと衝動的に回避行動をとったり、慌てて不安に振り回された行動を取らずに、「不安が起こっているけれど、大丈夫」と抱えたまま自分に必要なことを実行したり、不安を超えてやりたいことを達成することが出来るようになってきます。

不安を抱えながらも対応できる領域が拡がっていくと、感情に振り回されずに「自分は出来る」という自信を取り戻していくことが出来ます。生活の質がアップし、自信がついてくると不安が生じることも減っていきます。

※回避行動がコントロール不能で、生活に困難が生じている、不安が強く苦痛が生じている場合は、医療機関や専門家を受診する必要があります。つらい症状について医療機関や専門家の助けを得る必要性は、身体の病気と同じです。

©2021 ADOR(心理セラピスト/公認心理師・宮沢みか)

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