パニック発作を治すには?

セルフケア

パニック発作が自分の身に起きると、驚きますしとても不安になりますよね。

パニック発作は、感情だけでなく心臓がバクバクしたり、胸が痛くなったり、息苦しくなったり、汗や震えが酷かったりと、体の反応が強いので慌ててしまいますし、何度も起きるようになるとかなりしんどくなります。「パニックになりそう、どうしよう」と、症状に振り回されてだんだんと生活が思うように送れなくなったり、とてもつらい状態になることもあります。
勇気を出して心療内科のクリニックに行ってみたけれど、「発作が起きそうな時に飲む抗不安薬が出ただけだった」という事もよくあります。

パニック発作の治療法は?

ではパニック発作に対して、現在行われている治療法はなんでしょうか?

一般的な治療法はお薬による治療と認知行動療法などの心理療法です。
けれど実際には認知行動療法を受けられる場所があまり無く、勇気を出して心療内科や精神科を受診しても、「とん服の薬が出ただけだった」という事がよくあります。お医者さんは忙しくて、ゆっくり話すことが難しい事もあり、結局、抗不安薬や抗うつ剤、漢方などを処方され、薬だけの治療になる…という事が多くあります。

ただ、差し迫ってパニックを起こしたら困る仕事や行事が控えている場合は、とにかく発作が起きないようにしたいですから、抗不安薬は助けになります。緊急的にはとても助けになりますので必要な場合は医師と相談して処方してもらいましょう。

心理的な治療は?

現在最も一般的なパニック障害や恐怖症への心理療法は、認知行動療法をベースにしたエクスポージャー(暴露療法)と呼ばれるものです。簡単に言うと「徐々に恐怖を感じる場面に晒されて、慣れていく」という方法です。一定の効果は研究で報告されているのですが、だんだんと恐怖の強い場面にチャレンジするため本人にとってつらく、途中でやめてしまう人も多くなります。そもそも、この治療が受けられる場所も、少ないのが現状です。

自分で出来るセルフケア

パニック発作に悩んでいると、「どうしたらいいか分からない」という事がさらに不安を強くして、症状を悪化させてしまいます。薬を飲んでいるだけでは「治らない気がする」という人も多いでしょう。

まずは医療機関を受診して、お薬を出してもらいながら、自分自身でもケアをしていく必要があります。

パニック発作や不安症は正しい知識を身につけて「発作のメカニズム」を理解することも大切です。何も知らないと発作が起きただけで、さらにパニックになってしまいます。「心臓発作かもしれない!」「息が出来なくて死ぬかもしれない!」「気が狂ってしまってとんでもないことになるかも!」とさらに恐怖が起きて、症状を強くしてしまうからです。

なぜ発作が起こるのか、パニックの症状とは一体何なのか、分かっているだけでも大きく不安が軽減されて、落ち着いて対処できる可能性が出て来ます。

ここではパニック発作を落ち着かせるために、自分で出来るセルフケアの方法を紹介していきます。

まず体を落ち着かせる

パニック発作の症状は、本能的なサバイバルの反応と深く結びついています。生き残るために備わった自律神経の反応なので、そこに「意思」は関係なく、勝手に起こります。驚いたときに考えるより先に身体が飛び跳ねたり、鳥肌が立ったりするのは誰でも経験があると思います。
なので、頭で「心配しなくていい」「怖がる必要はない」と理解するだけでは、体の症状や強い恐怖はおさまりません。
パニック発作を落ち着かせていくためには、メンタルや考え方だけではなく、体へもアプローチして、サバイバルモードになっている脳や自律神経の状態を落ち着かせて安定させていく事が大切になります。

筋トレやダイエットと同じ

「これをすれば一発で治る」という方法ではありませんが(そうできればいいのですが…)、コツコツと神経系を落ち着かせていくことで、だんだんと発作や感情に振り回される状態から抜け出すことが出来ます。

筋トレやダイエットと同じです。一日だけものすごく頑張っても、あまり意味がありませんよね。毎日の積み重ねでだんだんと結果が出てきます。パニック発作へのケアは、生活習慣を変えることで健康状態が改善されるのと同じなのです。

コツコツと続けなければ効果が出ませんが、「気がついたらよくなっていた」、「そういえば最近症状が出なくなっていた」という風に変わっていきます。いきなりセラピーをするよりも、症状が少し落ち着いてきた後の方が「不安になりやすい」心理的な要因へのアプローチもスムーズに進みやすくなります。特に、サバイバルモードが強い時は、心にアプローチしようとしても集中できなかったり、そのパワーがなかったりと、上手く進まないことが多くなります。セラピーを受ける場合でも体や神経をゆっくり休ませて落ち着かせていくセルフケアを大切にしましょう。

体を落ち着かせる方法

体を落ち着かせ、サバイバルモードになっている神経をおだやかにするには、色々な方法があります。ポイントは、交感神経(戦うモード)が活発な状態から、副交感神経(休むモード)へシフトし、休息や安心を感じられるようにしていくことです。

  • 意識して休息を取って体を休めるようにする
  • 体をケアする時間を取る(肌のケアやマッサージなど)
  • リラックスできる時間を増やす
  • お気に入りの場所や好きな場所を増やす
  • 心地よい、と感じる時間を増やす
  • ヨガやストレッチ、整体などで身体を解す
  • 呼吸をゆっくりめにする
  • 暴飲暴食を控えて内臓を休める
  • 睡眠時間を十分に取る
  • ネットやテレビなど情報の取り過ぎをやめる
  • グラウンディングする
  • 自然の中に行く
  • ペットやかわいい動物と触れ合う

今までよりも意識して自分が「心地よい」「安らぐ」「安全だ」と感じる時間や場を増やしていきます。現代の社会生活の中では「疲れ」や「ストレス」があっても頑張り、無理をしててでも仕事に行く、などが当たり前になっています。パニック発作はそんな状態の中で身体が限界を感じたというサインでもあります。

今までよりもずっと、「自分」に対して優しく、きちんと休ませてあげて、ケアしてあげるという行動が必要です。

つながりを持つ

サバイバルモードを落ち着かせるために重要な要素があります。それは「つながり」です。哺乳類は群れをつくって、身を守ります。恐怖や不安を感じた時に、とっさに隣の人と手を取り合ったり、ハグしたりするのは、そうすることで神経系が落ち着き、穏やかになるからです。触れ合いや、所属は安心感を与えてくれます。けれども、人間にとって「つながり」は傷つけられる事もありますから、ストレスや恐怖の対象にもなりますよね。つながりや触れ合いが苦手な人も多くいます。

自分なりのつながりを増やし、大切にする

「つながり」を増やしましょうと言うと、抵抗を感じる人もいるかもしれません。(私もそうです)”愛する人ととラブラブしなきゃ”、”親しい友達がたくさんいてワイワイしなきゃ”、”何でも話し合える深い関係にならなきゃ”という風にイメージするかもしれませんが、そんなことはありません。なので、「そもそも、そういう関係があれば苦労していない」「私には無理」と落ち込む必要もありません!

自分なりのつながりを感じられる機会を増やしていけばいいのです。

個人的な濃いつながりが苦手でも、他者の存在に安心したりハッピーに感じる瞬間を、日常生活の中で探してみましょう。例えば好きなアーティストの作品を鑑賞しているとハッピーな感じがする、お気に入りのカフェに行くと適度に人がいて安心する、優しい警備員さんと挨拶すると少しほっこりする、アロマテラピーやマッサージを受けて身体をケアしてもらう、ネット上の楽しい投稿を読んで笑う、ということも全部他者がいなければ成り立ちません。日常の中で他者の存在に「つながり」を感じる場面を増やして、それを大切にしていけばよいのです。社会は大勢の他者から出来上がっています。お店で何かを買うだけでも、そこにはたくさんの他者の存在が必要です。些細な事でも日常の中での他者の存在を大切に感じていくことで「所属」「つながり」を感じる事が出来ます。

こういった「つながり」は不安や恐怖を感じた時に、セーフティーネットの様に自分を支えてくれます。

恐怖を感じた時に、このセーフティネットが全く無いとそのまま後ろに倒れてしまいます。恐怖や症状に圧倒され、崩壊してしまう様に感じる事もあるでしょう。後ろで支えてくれるものがあると、同じような状況で恐怖を感じても、自分を保つ事が出来るようになってくるのです。

パニック発作はメッセージ

パニック発作を持つ人の多くが、とても頑張り屋だったり、忍耐強かったり、子どもの頃から良い子だったりします。自分の感情や思いを表現するのが苦手な人も多くいるかもしれません。一生懸命、「よくあろう」「迷惑をかけないように」「我慢しなきゃ」と頑張り続けてきたのです。

パニック発作は、自分にとってどんな役割を持っているのか、「マイナス」だけではなく「プラス」の部分を見てみましょう。サバイバルの反応は身を守るために備わっていますので、パニック発作にも役割があります。あなたを守ろうとして、パニック発作は起こります。

どんな事から身を守ろうとしているのか?何が怖いと感じているのか?もし何かを怖がっているのなら、「怖がるな」と言うよりも、その部分を安心させてあげる必要があります。体はどんなメッセージを伝えようとしているでしょうか?「困った症状」としてだけ扱うのではなく、「どんなメッセージや役割があるのか」という視点で見てみると、新しい発見や成長が起こるかもしれません。

パニック発作は自分を大切に扱っていくきっかけになり、もっと自分に優しい生き方を選ぶ機会にもなります。

©2021 ADOR(心理セラピスト/公認心理師・宮沢みか)

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